Interview
ミズノ × カネカ 開発者インタビュー
海に還る人工芝が、
スポーツフィールドの
未来を変える。
2026.6.
2026年2月、バンテリンドーム ナゴヤに導入された海洋生分解性人工芝「Re Green Grass UMI」。これまで「耐久性」が最優先されてきたスポーツ人工芝の世界で、なぜミズノは「分解されること」を選んだのか。そして、その難題をカネカの革新的な素材「Green Planet」はどう解決したのか。開発を率いた二人が、5年間にわたる挑戦の裏側を語ります。
ミズノ株式会社
土肥 弘一
株式会社カネカ
塚尾 淳司
スポーツの場が、
地球を汚すわけには
いかない
まず、ミズノが「分解される人工芝」という
新しい挑戦に踏み切った最大の理由を教えてください。
ミズノ・土肥氏(以下、土肥):人工芝はスポーツ環境として非常に優れていますが、ちぎれた葉や充填材が海に流れ出し、マイクロプラスチックとして環境を汚染しているという報告がありました。長年フィールドに携わってきた身として、「スポーツをする場が地球環境を汚すわけにはいかない」という強い危機感を抱いたのが原点です。製品を作る・施工するだけでなく、使用後のライフサイクルまで責任を持つべきだと考えました。
カネカ・塚尾氏(以下、塚尾):我々カネカが開発した「Green Planet」は、海中で分解される稀有な素材です。これまでストローやカトラリーといった使い捨ての用途を中心に展開してきましたが、意図せず環境に出ていってしまう人工芝こそ、この素材が真価を発揮できるフィールドだと確信していました。
相反する「耐久性」と
「生分解性」の両立
「自然に還る」ことと、プロの激しいプレーに耐える「耐久性」は、
一見すると相反する性能に思えます。
土肥:まさにそこが最大の障壁でした。人工芝において耐久性は第一優先です。当初、初めて扱う樹脂ということもあり、試作段階では耐久性が非常に低い状態でした。
塚尾:開発チームとしては、「どちらかを犠牲にするのではなく、両方を完璧に仕上げる」ことにこだわりました 。実は「Green Planet」は潜在的に優れた耐久性を備えています 。ミズノさんから厳しい要求や知見をいただき、摩耗性を評価する「リスポート試験」を繰り返しながら、合計7回もの試作を重ねました。
土肥: 最終的に、現行のポリエチレン製人工芝とほぼ同等の耐久性が確保できたこと。これが、販売へ踏み切る一番の決め手となりました。
信頼関係で乗り越えた
「未知の領域」
共同開発がスタートしてから5年。
プロジェクトを前進させた力は何だったのでしょうか?
土肥:5年前、私がカネカさんの本社にお伺いし、「この問題を解決するにはGreen Planetしかない」とお話しした際、その場で「一緒にやりましょう」と快諾していただいたのが始まりです。お互いに人工芝への採用は「初めて」同士。試作と情報交換を繰り返す中で、確かな信頼関係を構築できました。
塚尾:開発者としては、難しいというより「やってみたい」という気持ちが勝っていましたね。使い捨てではない「耐久材」に挑むことは、素材の可能性を広げる大きなチャレンジでした。5年を経てバンテリンドームという巨大なフィールドに敷設された光景を目にした時は、ようやくここまで来たな、と感慨深かったです。
20年後の
「当たり前」を作る
製品ネーミングに込められた「Re」の思想が、
今後社会にどのようなインパクトを与えると考えていますか?
土肥:20年後には、「天然芝か人工芝か」という議論を超えて、環境に優しくかつ優れた「サーフェス」として人工芝が認知される世界を目指しています。今回の導入がその大きなきっかけになると信じています。
塚尾:今回はスポーツ用としての第一歩ですが、この技術が景観用など日常の風景へ広がれば、皆さんが気づかないうちに「マイクロプラスチックのない綺麗な海」が実現している……そんな未来を作りたいですね。
土肥:カネカさんはさらに先を見据えていらっしゃいますよね。
塚尾:はい。2030年には、CO2から直接ポリマーを作る技術の実装を計画しています。これが実現すれば、カーボンゼロから「カーボンネガティブ(二酸化炭素を減らす)」への貢献も可能になります。ミズノさんと共に、スポーツの側面から地球規模の課題解決を続けていきたいと考えています。
Installation施工情報
- 施工名
- バンテリンドーム ナゴヤ
- 所在地
- 愛知県名古屋市
- 施設区分
- プロ野球
- 用途
- 野球
- 製品
- Re Green Grass 9
- フィールド概要
- 両翼:100m 中堅:122m
- 施工面積
- 14,000m2
- 完成年月
- 2026年3月
Contact
ミズノ スポーツ施設
サービス事業部
(大阪)大阪市住之江区南港北1丁目12番35号
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